2019年4月7日 サンデーモーニング(後編)

2019年4月7日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年4月7日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風をよむ」にて日本の安全保障について報道された部分
② カルロスゴーン氏の再逮捕について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② カルロスゴーン氏の再逮捕について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
ゴーン容疑者が特別背任の疑いで再逮捕されたと伝えられる。一度保釈された容疑者が再び逮捕・勾留されるのは異例であるとアナウンス。弘中弁護士の記者会見映像に切り替わり、「身体拘束を利用して圧力をかけるのは人質司法」と批判する映像が流される。元裁判官・水野氏のインタビュー映像に切り替わり、「あくまで関連事件の一つなので在宅起訴で進めるべき。長期間の身柄拘束は人権問題」と述べる映像が流される。続いて、ゴーン容疑者の妻も「テロリストのように扱われた」と訴える一方、検察幹部は「保釈後に証拠隠滅のおそれがあった。そもそも保釈されたこと自体が異例だった」と主張していると伝えられる。
「日本側の捜査手法に対して厳しい目線が注がれるなか、ゴーン容疑者の会社の私物化はどこまで解明されるのでしょうか?」という言葉を最後にVTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
オマーンルートのお金の流れをパネル説明
・ゴーン容疑者は中東にある日産子会社を通じて、3年間で約17億円を支出
・このうちの5億6000万円をゴーン容疑者が複数のペーパーカンパニーを通じて、実質保有するペーパーカンパニーに送金させていた
・このお金は、高級クルーザーの購入費に充てられていたとみられる

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【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(全文):前ですね、この事件についてフランス人の記者と話したことがあるんですが、彼らは「日本は異様だ」と。やっぱりこの長期勾留っていうのは彼らにとってはあり得ないというふうに言ってましたね。その日本でさらにですね、異例なことが起きたんですね。保釈中の人間を逮捕するという。まあ、検察にとっては保釈すること自体が異例なんだということかもしれませんが、そういうことが起きたわけですね。じゃあ、検察の理屈をまずちょっと見ておきたいと思うんですが。検察側としてはおそらくですね。この逮捕、1回目と2回目の逮捕というのは、有価証券報告書の虚偽記載という、いわばちょっと形式犯的なものだった。3回目の逮捕というのは、これは特別背任の疑いなんですが、しかしこれ、10年前のある種古いものでもあるんですね。そういうこともあって、世界的なゴーンさん、経営者を、罪を問うにはちょっと弱いと。だから今度は、オマーンルートというこの4回目の逮捕。こちらは額も大きいし比較的最近の出来事ですから、こちらが本丸というふうに、検察は見ているんだろうと。だからもう1回逮捕に踏み切ったんだということじゃないかと思うんですね。で、もう一つですね。実はフランスのルノーも、オマーンへの不適切な支出があるというふうにして、当局に通報してるわけです。これがまあ、日本の検察にとっても強気に出る背景にあったんじゃないかという気がします。それでもですね、なぜ在宅で追起訴ではなくなんでわざわざ身柄をもう一回拘束するのかという疑問が残ると思うんですね。長期勾留して精神的に追い詰めて、そしてまあ自白にもっていくという、いわゆる人質司法で、冤罪脅しでずっと批判されてきた。これを繰り返そうとしてると言われてもおかしくない。しょうがないと思うんですね。しかもゴーン容疑者、会見を開くと言っていたり、あるいは「私は無実だ」と言っていたりするわけですから、検察にとっては、挑戦的であるということで、報復の意味合いもあるんじゃないかという気がいたします。逆らうものは許さないという検察の横暴というか、これは本当、昔の検察のやり方を見てる。そんな気すらいたします。じゃあ、今後どうするかということなんですが、またこの逮捕の後ですね、ある種の勾留時間が終わると、ずっとまた起訴後、もしかしたら勾留を続けたいと検察が言うかもしれない。その時に裁判所がですね、どういうふうに判断するのかということですね。きちんとした判断をするのか、これはもう日本の検察が問われてると同時に、世界がこれを見てるということを忘れちゃいけないというふうに思いますね。

寺島実郎氏(要約):グローバル経営のカリスマと言われた人物がどういう発信をするのか注目していたが、経営者として、日産をどんな会社にしたかったのか、どんな夢とビジョンをもって日産を経営していたのかを聞くことができなかった。不都合なことが起こると「自分はフランス人だからフランス政府に守ってもらいたい」というメッセージを発信していて、あまりに悲しいと思う。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):前ですね、この事件についてフランス人の記者と話したことがあるんですが、彼らは「日本は異様だ」と。やっぱりこの長期勾留っていうのは彼らにとってはあり得ないというふうに言ってましたね。その日本でさらにですね、異例なことが起きたんですね。保釈中の人間を逮捕するという。(中略)なぜ在宅で追起訴ではなくなんでわざわざ身柄をもう一回拘束するのかという疑問が残ると思うんですね。長期勾留して精神的に追い詰めて、そしてまあ自白にもっていくという、いわゆる人質司法で、冤罪脅しでずっと批判されてきた。これを繰り返そうとしてると言われてもおかしくない。(中略)しかもゴーン容疑者、会見を開くと言っていたり、あるいは「私は無実だ」と言っていたりするわけですから、検察にとっては、挑戦的であるということで、報復の意味合いもあるんじゃないかという気がいたします。逆らうものは許さないという検察の横暴というか、これは本当、昔の検察のやり方を見てる。そんな気すらいたします。

要旨をまとめると、
・フランス人記者が「日本は異様だ」と言っており、長期拘留は世界的に不当なものだ
・在宅で追起訴ではなく身柄を一度拘束するのは人質司法だ
・ゴーン氏は無実を主張しており、検察はこうした挑戦的な姿勢に対して報復するために拘留している
というものです。

しかしながら、
・匿名のフランス人記者の発言を以てして日本の司法の正当性を評価するのは正しい評価とは言えない
・ゴーン氏は国外逃亡や証拠隠滅の可能性があるため、身柄の再度拘束は正当な処置だ
・人質司法が行われているという主張に根拠はない
・ゴーン氏の姿勢に対して検察が報復しているという主張にも根拠がない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本の司法の正当性が心配だ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国内の放棄に基づく正当な対応だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風をよむ」にて日本の安全保障について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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